諸君 私は!

諸君 私は漫画が好きだ
諸君 私は漫画が好きだ
諸君 私は漫画が大好きだ


集英社が好きだ
小学館が好きだ
講談社が好きだ
秋田書店が好きだ
白泉社が好きだ
角川書店が好きだ
竹書房が好きだ


ジャンプで サンデーで
マガジンで チャンピオンで
モーニングで アフタヌーン
ビックコミックで 近代麻雀
コミックビームで 月刊IKKI


この地上で行われるありとあらゆる漫画連載が大好きだ


巧妙に練られた伏線の一斉回収が轟音と共に物語を収束させるのが好きだ
空中高く放り上げられた設定が打ち切りでばらばらになった時など心がおどる


冨樫の描く19(アインノイン)ページがネームのまま掲載される好きだ
悲鳴を上げて打ち切りが決まった連載が開き直って展開が速くなり突如面白くなった時など胸がすくような気持ちだった


人気取りのための後付設定がそもそもの設定を蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の新人がすでに没にされたネームを何度も何度も練り直す様など感動すら覚える


敗北主義者の漫画家達が急病にかかる様などはもうたまらない
泣き叫ぶ新人漫画家達が私の振り下ろした手の平とともに金切り声を上げるアンケート投票にばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ


哀れな抵抗者の10年来描きたかった漫画が打ち切りのために木端微塵に未完に終わった時など絶頂すら覚える


編集部の横槍に設定が滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった新連載が蹂躙され天下一武道会が開催される様はとてもとても悲しいものだ


教育委員会の物量に押し潰されて発禁扱いされるのが好きだ
PTAに追いまわされ害虫の様に有害図書指定されるのは屈辱の極みだ


諸君 私は漫画を 地獄の様な漫画を望んでいる
諸君 私に付き従う漫画読み諸君
君達は一体何を望んでいる?


更なる漫画を望むか?
情け容赦のない糞の様な週刊連載を望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様な短気集中連載を望むか?


『漫画(コミック)!』

『漫画(コミック)!』

『漫画(コミック)!』


よろしい ならば漫画だ


我々は満身の力をこめて今まさに振り降ろさんとする握り拳だ
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々にただの漫画ではもはや足りない!!


大連載を!!
一心不乱の大連載を!!


我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ漫画読みに過ぎない
だが諸君は一騎千蔵書の古漫画読みだと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総蔵書100万と1冊の大漫画喫茶集団となる


我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう
連中に漫画の味を思い出させてやる
連中に我々の打ち切りの音を思い出させてやる


天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
一千人の漫画読み団で
世界を読み尽くしてやる


「最後の漫画読み(ラストコミッカー)指揮官より全空中艦隊へ」
目標大日本帝国本土東京首都上空!!


第二次「僕たちの戦いはこれからだ」作戦 状況を開始せよ



平野耕太ヘルシング』4巻「少佐」の台詞の改変。