はてな住所登録パブリックコメント

よほど反響が大きかったのであろうか。
はてなが、住所登録強制化の撤回も含めた検討を行い、これに関するパブリックコメントを募集しはじめた。


はてなは現在以下の施策のいずれかを検討中とのこと。

  1. 全ユーザーの住所登録を義務とする
  2. 住所登録を選択制にする
  3. 住所登録は行わない


2があまりにも妥当な落とし所なので、語るにしても逆に切り口が難しい。
1,2,3のいずれにせよ、はてなが現在抱えているであろう訴訟リスクを最小化するのが大前提であると考えられる。
しかし1は、はてなが撤回も含めた検討を行わなければならないほどのユーザの反発を招いたのであり、ビジネス的な観点から妥当な施策とは到底考えられない。


この前提に立てば、3のオプションを採用した場合の付帯条件「権利侵害が行われている可能性がある場合には、基本的にまずプライベートモードや非公開にさせて頂きます」は、ほぼ言葉通りに実行されるであろう。
この場合、単純に言って、無差別な削除依頼による「荒らし」行為に対して、ユーザがこれを防御する術がない。大規模にこれを行えばはてなに対する「手動DoS攻撃」のようなことすら可能である。はてなにとってもこれを防ぐためには削除依頼の内容を一々吟味する必要があり、コスト面で元の黙阿弥である。(削除依頼に従ってどんどん日記がプライベートになっていく絵は、野次馬根性的にはちょっと見てみたいw)
逆に、これを言葉通り実行しない場合、はてなの訴訟リスクは現在のまま残ってしまうことになり本末転倒である。


2であれば、少なくとも違法なコンテンツを持たないと自覚するユーザは住所登録を行うことにより、前述の荒らし行為を防ぐことが可能である。はてなとしても、優良な顧客に対して便宜を図ることが可能であり、逆にそれが自発的な正しい住所の登録を促す可能性もある。


そもそもサービスの質により個人情報を登録する必要性の度合は異なるのであって、登録しなくても使えるサービスと登録しないと使えないサービスとに階層化することは極めて合理的な方法である。
例えばアンテナのみを使用しているユーザに住所登録を強要するにはあまりにも無理がある。
逆に、例えばヤフオクを使っているユーザは、情報漏洩を起こしたYahoo!に個人情報を預けている(本当は情報漏洩を起こしたのは株式会社ソフトバンクBBだが、大多数のヤフオクユーザはこれをYahoo!と同一視していると考えられる)
サービス自体の魅力も大きいのであろうが、金品のやりとりが行われるオークションにおいて、トラブルを避ける意味で個人情報を登録させることはそれほど無理のある論理ではない。
必要性が明確であれば、例え漏洩の前科がある企業にでさえ個人情報を預けるユーザは存在するのだ。


パブリックコメントは多数決ではない。はてながどのようにこの結果を利用するのか見ものであるが、はてな経営陣の賢明な判断を期待する。