厳しい視線を注ぐがゆえに彼らは変わりません

ライブドアの件について、色々なブログ記事をみた。政治的切り口、投資家視点、国家権力論、スケープゴート論、同情論、感情論、ネタ、陰謀論etc. 鋭いなーという切り口から、それは単なる思い込みでしょ、までまさに百花繚乱だった。しかし実はひとつの分野だけ、内容に関係なく違和感を覚えてしまったものがある。

それは、マスコミの報道姿勢に関するもの。曰く、さんざん持ち上げておいて掌を返すだの、容疑がかかっているだけの段階で犯罪者扱いだの、容疑とまったく関連しない人格否定だの、株式分割/M&A/金融的手法などそれそのものには何の違法性もない経済活動をあたかも犯罪のように評するコメンテーターだの。


何に違和感を覚えるかというと、高いメディアリテラシーを持ち、マスコミの欺瞞を見抜く能力を持つ賢いあなたが、なぜ貴重な時間を割いてまでそんな低レベルで低俗な番組を見るのか?ということについてだ。
彼らが十年一日のごとく有限の資源である電波を低レベルな番組で充満させ続けることができるのは、あなたのような賢い人ですらそのような低レベルな番組を見ているからだ。もしあなたの家に視聴率調査機器が設置されていなくても、その低レベルな番組を見て一緒に広告を見るということは、その番組に対する支持表明に他ならない。結果マクロで見ればあなたが買った商品の広告費はその番組の作り手の懐に入るわけだ。


僕は二度寝しないように朝起きたらとりあえずテレビをつける*1以外にテレビ番組をまったく見なくなった。このため、挙げられたような今回のマスコミの横暴はさもありなんと思いながらも、どれひとつ自分で実際に目にしたものはない。テレビを見なくても、恐ろしいことに、ちっとも困らない。唯一困るのは、酒を飲んでいてお笑い芸人のネタを振られても分からないことだ。ものすごいどうでもいいレベルの話だ。それにこの位なら、軽部さんのコーナーを1日5分見るだけである程度ついていける。本当に、テレビを見なくても全然困らない。


そこで提案なのだけど、もうやめてはどうか?
よく言われるように好きの反対は嫌いではなく無関心だ。マスメディアだって商売なので、売れる(見られる)限りは低俗な番組を売り続ける。糾弾も監視もこき下ろしも消費の一形態なので、どんなにマスコミの横暴をあげつらったところで、彼らが低俗な番組をやめることはない。なにせ、しっかり消費されているのだから。彼らが改めるときがあるとすればそれは、低俗な番組が消費されなくなったときだけだ。

*1:チャンネルを変えないので常にめざましテレビが映る。目覚まし時計がなってからテレビをつけると「トロと旅する」が始まり、軽部さんのコーナーの間にシャワーを浴びて、戻るとお天気お姉さんが天気予報をしており、着替えている間に占いが終わるので消して家を出る。小倉さんの顔を見てしまうと、ぎりぎり出社になってしまうなとあせってしまう