インターネットビジネス2.0

http://blog.japan.cnet.com/watanabe/archives/002403.html
を読んで。


よくまとまっているエントリ。かなり同意。


ウノウのお二方との意見交換で感じられたのは、
 ・参入は容易になった
 ・技術で頭を抜けるのは難しい
ということから、足元の競争はむしろ激しくなっているかもしれないということである。資本力で力押しする方法も無い訳ではないが必ずしも有効とは限らない。メディアの力で強制的に普及させても結局弱く、地道にサービスを作りこんでいくことが巡り巡って最短ルートになっているケースはひとつやふたつではないだろう。

そう思う。チープ革命、チープ起業とはそういう感じなのだろう。参入障壁は極めて低い。単に自分が欲しかったとか、小遣いになればそれでいい、みたいな感じでDIYでサービス作っちゃうサラリーマンプログラマすら競合になりうる。あるいは、ある日突然そういう競合が出現してもまったくおかしくない。そのくらい、インフラは安いし、OSだろうがRDBMSだろうがサービスのコアコンピタンスとなる部分以外のシステム的ソフトウェア的な資源は安価に手に入る。そして、GoogleAdSenceやAmazonアフィリエイトで、自前で広告営業を雇えない人にも変換効率は悪くともキャッシュをもたらしてくれる。

だがその帰結として

結果、過当競争が発生しやすくなる。

とは思えない。有料サービスというのは今のところなかなか難しいから勢い広告ビジネスになるけれど、競合がGoogleAdSenceで稼いでいるとしたら広告料金をいくら下げても無意味だ。キャッシュの供給側(=PVの消費側)での広告商品の価格的魅力というよりは、PV供給の源泉(従ってキャッシュの源泉)たるサービスの魅力そのものが勝負を分けるのではないか。Webアプリケーションなんて作るのは簡単なので、技術力自体が競争要因となることはあまりないから*1、サービス自体の新規性利便性に加えて、ユーザビリティマーケティングが勝負の舞台となるだろう。


アイディア一つの個人がさらっと人気サービスを作ってしまえるくらいサービス市場の成熟度が低い上、資金の供給はそう簡単にしぼまないと考えられるのでので、まあ2〜3年の間は

経過仮説になるのだが、しばらくの間は多産多死の環境になっていると考えている。

となるのだろう。参入障壁の低さから、インターネット広告市場の拡大以上のスピードで参入が起きる(企業だけでなく個人DIYサービスを含めて)ことは間違いない。

そして、補足とされているが、最も面白いのは

成長のみが必ずしも事業の絶対目標でないことはここで記しておきたい。

ここではないかなと思う。VCの資本を入れたら、そりゃあIPOなり売却なりexit戦略を求められるし、それに向けて数十%とか百数十%とかの基地外みたいな成長を要求される。でももしVCの金を使わずに(あるいは少ししか使わずに)チープ起業が可能ならば、本来そんな馬鹿みたいな成長を目指したい人ばかりではないだろう。(とりわけスタート地点が「自分が欲しいから」とかならば)
以前のエントリで、「金貸しすらコモディティ化する」と書いたのはまさにこのことである。もちろん僕はVCと付き合いがあるわけではないので妄想だったのだが、冗談ではなく本当にVCも変化に直面しているようだ。いつまでそれが続くか知らないが、それが有史以来初めて現れた、Web2.0が起こす本当の変化ではないかと思っている。

*1:無論Googleをもう一つ作ろうというなら別だ。ただし、Googleほどのインデックス規模を実現しなくてよいのならば、Googleのような仕組みの検索エンジンを作ること自体はそれほど難しくはないと思う。もっともGoogleアルゴリズムの根本「人気の高いサイトからリンクされたサイトはやはり人気がある」はそれなりの母集団を必要とするけれど。