釣られたのかも知れないと言う恐怖

日本語の通じない方なのではないか、もしくはそれを装った釣りなのではないかという妄想が頭をよぎり、ものすごい徒労感に襲われたが、モ、モヒカン族は退かぬ!媚びぬ!省みぬ!!


最近で適当な例をあげると、「サイボウズ裁判」なんかがあります。
グループウェアサイボウズが、類似ソフトのネオジャパンを著作権侵害で訴えた裁判です。結局、一定の類似性は認めるものの、機能追及の結果による類似性に過ぎず、創作性の侵害は認められずサイボウズは負けます。
(中略)
この判決では最近のソフトウェアにも著作権を認める認識により、ソフトウェアの設計といった創作性には著作権はあるとされています。
ダウトです。裁判所の判断を誤読されています。(判決文)

文書中程の、「当裁判所の判断」辺りからが裁判所の判断です。これは以下の4つの段落から成ります。

  1. ビジネスソフトウェアにおける表示画面及びその組合せの著作物性等
  2. 争点(1)(著作権侵害の有無)に対する判断
  3. 争点(2)(不正競争行為の成否)に対する判断
  4. 争点(3)(不法行為の成否)に対する判断

裁判所は一貫して画面表示に関する著作物性/著作権を話題にしており、はいびすかす氏の言うような、「設計の著作権」を認めるような内容ではありません。
1.では裁判所は、画面表示が著作物となる場合があると言っているに過ぎません。


画面(ディスプレイ)上に表現される影像についても,それが「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項1号)である場合には,著作物として著作権法による保護の対象となるものというべきである。

はいびすかす氏が以下のように言っている部分も実は、設計に関する話題ではなく、画面表示に関するものです。


終盤の裁判所判断のところを見ますと、「デッドコピーないしそれに準ずるようなもの」である必要性があります。すなわちほとんどクローンと言えるか?ということでしょう。

主語まで引用すれば、画面表示に関する話題であることは明白です。


仮に原告ソフトの表示画面を著作物と解することができるとしても,その複製ないし翻案として著作権侵害を認め得る他者の表示画面は,いわゆるデッドコピーないしそれに準ずるようなものに限られるというべきである。

以後一貫して画面表現の著作権のみを問題とし、「設計の著作権」などという珍妙な概念は全く出てきません。むしろ機能やアイディアなどの設計に類する事項を著作物としての表現と区別して考えていることが明白です。


被告ソフトの表示画面には,原告ソフトと共通する部分も少なくないが,それらは,スケジュール管理ソフトウェアとしての機能に由来するものであって,いずれもアイデアないし機能を実質的に同一にするとはいえても,その具体的な表現方法を対比したとき,表現上の創作的特徴を共通するということはできない。


(※引用者註:証拠として挙げられた、個別の画面の類似点を分析して)上記の共通点は画面の機能上の発想ないしアイデアを同じくするにとどまるものであって,それにより表現の創作的特徴が共通すると認めることはできない。