iPod Photo(後編)

日本人は写真が好きだ。
バブルの頃、TPOをわきまえずどこでもカメラを構える日本人なんていう揶揄があったような記憶がある。

そのせいか、デジカメは大人気だし、携帯もほとんどの機種がカメラ付きだ。思いでを写真の形で残しておく事は、日本人にとって耐えがたい衝動なのであろう。


ほんの3年ほど前までは、旅行などにいった後、誰かが撮った写真のうち自分が映っているものをもらうというのが典型的な写真の配布方法であった。
最近では、メールにデータとして添付されて送られて来たり、Webサーバにアップされるという配布形式が当り前になってきている。


そして、撮ったり受け取ったりした写真を一瞥し、この思いでを共有した友達との会話のネタにしたりする。
恐ろしいことに、皆これだけ写真を撮るが好きなのにも関わらず、写真の限界効用はこの時点でほぼ0になる。
マメな人は、そのイベントの名前を付けた写真管理用のフォルダに移動して管理するのかもしれないが、僕は面倒くさがりなので、大体圧縮してハードディスクにいれっぱなしだ。そして、いつのまにやらどこにあるか分からなくなる。


この限界効用遁減が描く曲線は、iPod出現以前の楽曲のそれに似ている。
楽曲も、同じように、新譜として出た曲は何度も聴いたり、話のネタにするものの、すぐにそれを消費しつくし限界効用はかなり早い段階でほぼ0になる。次のアルバムが出る頃にはほとんど聴かなくなっているだろう。
あとは、何年かたって思いでと共に昔懐かしいアルバムをひっぱりだしてくる他に、音楽CDの出番はない。

これに革命をおこしたのが、すべてを一元管理しすべてを持ち歩くという価値を提示したiTunes&iPodである。

さて、iTunesの楽曲管理機能の素晴らしさは前編にて述べた。
要約するならば、iPodの魅力はその容量のみではなく、その容量の中にすべてを入れて持ち運ぶことを可能にする、iTunesの快適な管理機能あってのiPodである。


翻って、これだけの人々が写真を愛しているにも関わらず、デジタル化された写真を管理する快適な方法は、今のところない。

携帯電話のカメラ機能は実に素晴らしいが、その管理機能は実にお粗末だ。オマケと言ってもよい。大体、画像が表示されるのが遅すぎる。
遅さのようなハードウェア的な制限は、技術者が緩和するであろうが、移動端末としての完全性(単独で全ての操作を行う事ができること)を前提としている携帯電話に、さらに画像管理機能までをも付加するのであろうか?
こういう方向を目指す製品は出て来ると思うが、間違いなく失敗すると思う。それはおそらく複雑すぎるし、電話であるというインターフェイスの制限により、大して使いやすくもないと思う。(iPodのように、完全性を放棄してPC+快適な管理ソフトを前提とする携帯電話が出れば別だが、これはこれでどうかと思う。)


買っていないので仮定なのだが、もしiPod Photoに付属するソフトウェアが、写真の管理という点において革新的なブレイクスルーをもたらすならば、これは化ける可能性がある。
昔の写真なんか滅多に見ない?
その通りだがそれでよいのだ。すべてを持ちはこんでいることに意味がある。
iPodは、楽曲において、すべてを持ち運び、いつでも楽しめるという価値を提示した。
いつでも楽しむためには、すべてを持ち運ぶ必要がある。


誰しもが愛する写真であればこそ、今は存在していない快適な管理方法と、快適な保存方法が統合されたとき、誰も考えなかった価値が現れる可能性がある。


なお、バッテリについてはid:anrakusai氏に同意である。
しかし、おそらくiPodに関する限り、カラー液晶やめてもバッテリー継続時間は大して伸びないだろうとも思う。
iPodをプレイヤーとして使う限り、ほとんど液晶は点灯していないからだ。
音質については、CDよりいい音質というのは現状の機能で実現できているのではないかな?
ロスレスでエンコできるので、CDよりもいい音源を持って来れば、一応できる。それとも、アンプをもっと高性能(で高いやつw)にしたほうがいいってことかな?これはちょっと欲しいw けどマニアしか買わない予感。
(なお「付属のヘッドホンがウンコ」と巷(2chとかw)で噂なので、よいヘッドホンを別途購入するのがコストパフォーマンスがよい)